金融庁「「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第1回)議事要旨の公表について」を公表しました。

金融庁「「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第1回)議事要旨の公表について」を公表しました。

「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第1回):議事要旨

1.日時:令和3年1月27日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所:オンライン開催

3.出席委員:  
伊藤座長(一橋大学)、上野委員(一般財団法人電力中央研究所 社会経済研究所)、押田委員(マニュライフ・インベスト・マネジメント株式会社)、梶原委員(株式会社日本格付研究所)、加藤委員(株式会社三菱UFJ銀行)、金子委員(株式会社三井住友銀行)、金留委員(DNV GL ビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社)、木保委員(アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社)、今委員(日本生命保険相互会社)、高村委員(東京大学 未来ビジョン研究センター)、竹内委員(第一生命保険株式会社)、竹ケ原委員(株式会社日本政策投資銀行)、長谷川委員(一般社団法人日本経済団体連合会)、林委員(BofA証券株式会社、国際資本市場協会(ICMA))、平林委員(株式会社みずほ銀行)

4.議題:
(1)開会
(2)事務局資料説明
(3)プレゼンテーション(BofA証券株式会社/林委員)
(4)トランジション・ファイナンス基本骨子案説明
(5)討議
(6)閉会

5.議事内容:議事(1)開会
 

経済産業省 産業技術環境局 山下局長より挨拶

・昨年の9月にクライメート・イノベーション・ファイナンス戦略2020を発表した。その中にTGIF、すなわちトランジション、グリーン、イノベーションの3つの重点分野を同時に推進し、これらの事業に対してファイナンスをするという話を盛り込んでいる。
・昨年12月にICMAが国際的なトランジション・ファイナンスのハンドブックを公表し、国内実務者向けのガイドラインが必要という認識から、本検討会が開催されていると認識している。
・国内の現状を捉えつつ、トランジション・ファイナンスが国際的に信頼され、そして何より実務的に機能するものとなるように、ご議論いただければと思っている。ぜひ活発なご議論をいただきたい。
 

金融庁 池田チーフサステナブルファイナンスオフィサーより挨拶
・トランジションのコンセプトの重要性を2年ほど前から主張してきたところであり、今般、国際的な動きと連動しつつ、日本としての考え方を整理していくための検討会が、3省庁の主催で開催されることを嬉しく思っている。
・金融庁も、サステナブルファイナンス有識者会議を立ち上げ、今後の方向性を整理するフェーズに入っている。本検討会とも連携していきたい。
・トランジションのコンセプトについて、グリーンと対立的に捉えたり、グリーンではないものを救うものとして捉えたりすることには違和感がある。
・気候変動の文脈では、あらゆる主体がカーボンニュートラルへのトランジションに向けて取り組む必要がある。その意味では気候変動ではグリーンも含めすべてがトランジションである。また、グリーンボンドを発行している主体でも、企業全体のレベルではトランジションを描き切れていないところもある。
・本検討では、こうした観点から、グリーンの要素を補強する信頼できる(Credibleな)トランジションという切り口でぜひご議論をいただき、その先に実務として具体的なプロダクトが出てくることを強く期待している。
 

環境省 白石大臣官房審議官より挨拶
・昨年来、コロナ禍の中であるが、ESG金融の勢いは引き続き国内外で強まっている。欧米ではグリーンに加えソーシャルボンドの発行が盛んであるが、日本では依然としてグリーンボンドが伸びている。2020年の国内でのグリーンボンド発行額は1兆円を超えた。
・2050年カーボンニュートラルを達成するには、多様な経路があるところ、円滑かつスピーディな移行、すなわちトランジションが非常に重要となる。その重要性は国際的にも注目される一方で、ロックインやトランジションのためのトランジションといった懸念も聞かれる。
・日本も国内外の市場関係者の理解を得ながら企業のカーボンニュートラルに関する戦略を前に進めていくことが必要である。国際的なイニシアチブと整合を取った形でトランジション・ファイナンスの実践を金融界・産業界と一体で進めていく必要がある。
・3省庁共催でこのような検討会を行い、実務的な取りまとめを行うことの意義は大きい。非常にタイトなスケジュールの検討になるが、活発な議論を期待している。
 

伊藤座長より挨拶
・TGIFの土台となる議論である「環境イノベーションに向けたファイナンスのあり方研究会」の座長を務め、「TCFDコンソーシアム」の会長としても、こうしたテーマとかかわってきた。
・今回のトランジション・ファイナンスに関しても、これまでの議論や活動がパッチワークのようにばらばらになるのではなく、有機的につながるような議論をしていきたい。自由闊達なご意見を遠慮なく述べていただきたい。
 

議事(2)事務局資料説明

事務局より、資料4トランジション・ファイナンスを巡る動向をもとに、のガイドラインなどの国際的な原則、経済産業省のトランジション・ファイナンスの考え方、金融機関におけるフレームワーク等の策定、そして具体的な事例など、国際的なトランジション・ファイナンスの動向について説明した。
議事(3)プレゼンテーション(BofA証券会社/林委員)

BofA 証券/林委員より、ICMAのクライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブックについて、その検討過程を含めご説明いただいた。
・ICMAのハンドブックのポイントとして、トランジションはEUタクソノミーと対立するものではなく補強するもの。欧州中心でのルールに対して、他地域、例えば、アジアや日本の環境を反映するという意識があったと思う。
・ICMAのWGは80社で日本を含めて多様な関係者が参加した。コンサルテーションに対して非常に多くのコメントが日本からも寄せられた。そういった中でヨーロッパとは異なる立場を反映するのはうまくいったと思う。各国の状態や産業によって急にタクソノミーの通りにはならないということ。
・他方、ウォッシュにならないためには、グローバルに信頼できるものが必要。ICMAのハンドブックを作るに当たって、WGでは「信頼性・透明性が鍵だが、地域によって各々の経路があってよい。それらはタクソノミーの目指すパリ協定に集約していくだろう」とコメントがあったと理解している。
・日本にはアジアのエネルギーを支えるという大きな役割もあるが、原子力にも課題がある。欧州と同じやり方はできない。国際的理解を得ながら透明性高く、投融資に繋がる、成長戦略に繋がる取組ができるよう基本指針の検討にあたりたい。
 

議事(4)トランジション・ファイナンス基本指針 骨子案説明

・骨子案について説明し、討議に移った。
 

議事(5)討議

要素1、2には違和感がない。TCFDのフレームワークを活用することにも賛成である。要素3、4に関して、特にローンの場合は相対での取引となるため、ボンドの極めて透明性の高いフレームワークをどの程度当てはめることができるかが論点となると思う。特に、資料5p.7、科学的根拠に関して、2050年時点はIEAやIPCCに準拠していれば問題ないとして、そこまでの過程に関して、どのように評価すればトランジションローンとして認めて良いのか。また、その過程に関する情報をどこまで開示する必要があるのか、これらの論点がボンドとローンで同じロジックになるのか、などが気になる点である。
もう1つは、資料5p.5に関して、例えばエネルギー多消費の設備を所持している企業がその設備の改修にあたり、適切な長期戦略に則して自社で実施する場合はトランジション・ファイナンスの対象として是となると思うが、調達条件等に鑑み、当該設備を切り離してプロジェクトベースで資金調達をする場合をどうするか、整理しておく必要がある。プロジェクトだけを取り出すと、見方によっては、グリーンでもトランジションでもなく見えるものが出てくることが想定されるが、母体と一体で考えれば、トランジションとして十分是認できるような場合。このような対象に関してどのように解釈すべきかご議論をいただきたい。
資料5、p.1の作成方針で記載があるように、文末で段階をつけていただけるのは助かる。
資金使途特定型と不特定型に関して、特に特定型では、個別アセットを長期戦略の中でどのように位置づけるのか、切り離してしまうと長期戦略への貢献度が見えにくくなる。SBTなどを取得している企業の場合、長期目標からのバックキャスティングで毎年毎年のやるべきことのメニューを設定している。メニューの内容については、省エネ、再エネの購入、あるいは自社での発電、オフセット、そして新たな技術革新のミックスとなっている。これら企業の場合は技術の導入計画などを整備しており、その中の一部であるとわかるとトランジションとしては信頼性、透明性が高くなる。一方で、全体を開示することが競争上の観点から難しい場合、第三者機関が評価をし、少なくとも関係者へは説明ができると良いだろう。
長期戦略は基本的には2050年脱炭素が基本となると思うが、2050年までの具体的な計画を立てることは難しい。今は2030年までの計画は具体的に出ている企業も増えてきているため、その点を見ていただきたい。その中で経路はリニアではなく、省エネに資する設備機器や再エネの導入での削減などは凸凹した形になるだろう。そのため、ボンドの発行時に一部を切り取ってしまうと大きな削減が含まれないこともあるが、切り取った期間が野心的ではないから排除するのか、全体としての計画がしっかりあるため受け入れられるとするのかは金融機関の皆様にご議論頂きたい。
資料5p.2において本基本方針の読み手を発行体とするとのことだが、金融機関、機関投資家についても入れるべきではないか。ファイナンスは発行体と資金供給者の両方が存在して成り立つものであり、読み手として両方を想定したほうが、トランジション・ファイナンスがより普及していくことにつながり、また多くの人に読んでいただけるのではないか。
要素3では長期目標と短中期目標が言及されているが、短中期目標を含むことは賛成である。長期目標だけでなく、そこに向けた短中期目標の設定は重要であると考えている。
要素4では成果やインパクトについて定量的に示すべきかの論点があったが、機関投資家としては、可能であれば定量的に示していただきたい。昨今、機関投資家も保有している運用ポートフォリオ全体としてどの程度のCO2排出量なのかを把握し、そしてどの程度削減していくのかを目標設定する動きが出てきている。企業1つ1つの取組を読み取り、定量化することは非常に困難であるため、ファイナンスをつける際に継続的に定量化されたものを確認していくことが望ましい。
一方、発行体にあまり負担がかかりすぎることは良くない。特にScope3まで必須にすることは難しいだろう。ローンまでを対象に含むと中小企業も対象となる可能性があるため、サプライチェーンの中核企業はScope3まで、中小企業はScope1,2までのようにグラデ―ションを設けても良いのではないか。
P5の概念図で、グリーンボンドやグリーンローンの一部と重なる部分及びSSL(サステナビリティ・リンク・ローン)の一部と重なる部分に、トランジション・ファイナンスの概念が位置すると理解している。水色斜線の部分も赤の部分同様トランジション・ファイナンスであると理解しているが、赤色になっていないのは何故か。ピンクと赤の区別があるのであれば、記載すべきと考える。また、サステナビリティ・ボンド/ローンも記載したほうが良いだろう。
要素1,2でトランジション戦略がメインとして読み取れるが、発行体から見ると、どこまでのトランジションストーリーを示す必要があるかが重要となる。パリ協定や業種別ロードマップに合致するものであればよいのかといった点や、「公正な移行」とは何かについて具体的に記載してもよいのではないか。
要素3について、海外プロジェクトでトランジションストーリーとの整合性を評価する場合、閾値をどこにするかが重要である。海外に技術を輸出することは重要だが、輸出先の国か日本のどちらの閾値を用いるかで評価が分かれるだろう。抜け道のようなものができないようにする必要があり、論点の一つと認識している。
骨子全体の方向性について賛同する。日本の特性に加え世界の基準を踏まえる必要があると考えており、ICMAのハンドブックを参照することで問題ないという認識。
要素3、4について、長期に加え短中期の目標を記載することも賛同である。また、脱炭素に向けた経路について、線形だけでなく多様なものを認めるという点も重要だと認識している。
投資家としての成果やPDCAにもつながるため、投資家の立場としては、投資後の資金使途や成果は可能な限り定量的な形で開示してほしい。投資家から見た際の透明性の確保などがすそ野を広げることにも役立つと思うため、そうした観点も意識したものになるとよい。
要素3と要素4に関連して3点ほど申し上げる。脱炭素に向けた軌道は、国や世界全体でみれば滑らかなものとなるだろう。一方、個別企業では、投資のタイミングで排出量が下がる、下り階段の形にならざるを得ない。あまり軌道の在り方にこだわることは生産的な議論ではないだろう。むしろ下り階段状の経路を前提とすれば、要素4の投資計画の信頼度や透明性を高めることが、軌道の形よりも本質な論点ではないか。この意味で、要素3と要素4は根本的にはつながっている。
資料4でバンクオブチャイナの例が記載されているが、金融機関もトランジション・ファイナンスのユーザー(資金調達主体)になりうる。日本でそのニーズがあるかどうかは別として、金融機関がユーザーになるという目線で見た場合に、要素3や4の記載方法について現状のものでよいか、検討すべきではないか。
オフセットクレジットをトランジション戦略の中に組み入れる事例が増えてきている。自発的なクレジットに対する需要が上がる中で、急速にオフセットへの期待感が高まっている。基本指針に織り込むかは別として、トランジション戦略の中に位置付けることの是非について、一度整理したほうが良いだろう。
全体に大きな違和感はない。グローバルに展開する金融機関としてはグローバル投資家の目線も気にする必要があり、その点、ICMAのハンドブックを参照しているのは適切だと考える。一方で日本を含むアジアはトランジションが必要な相対的に大きなエクスポージャーを抱えており、地域性を考慮する必要もある。
基本指針をプロジェクトファイナンスに当てはめた場合、どう考えるべきか。通常プロジェクトファイナンスはスポンサーが複数存在する。どのスポンサーの計画を参照するかも一つ論点になるだろう。若しくは、プロジェクトカンパニーを一つの企業としてガイドラインを適用することも一つの選択肢ではあるが、プロジェクトとして機動性を欠くため難しいと認識している。ガイドラインの活用余地を広げるためにこうした点はもう一度しっかり見る必要がある。
開示の観点でボンドとローンの相違をどう考えるべきか。ボンドの観点では特に違和感はないが、ローンの場合、取引銀行としてエクスクルーシブにお客様から得ている情報があったり、また、CAがあって開示できない情報もある。ローンにおいて、そうした非開示情報も合わせ、ガイドラインを十分に満たしていると考えられる場合、どう取り扱うことができるのか。ある程度ボンドとローンを分けて扱うことが可能か検討したい。
基本骨子案について、全面的に賛同する。ハンドブックと整合しており、特に抜け漏れがあるとは認識していない。
基本指針だけでなく、基本方針を実際に活用する際に参照できる実務者向けの手引書があるとよいのではないか。実際に発行体は、骨子案からフレームワークを作ろうとしても、どうすればよいかわからないだろう。
我々が過去に協議を行ってきた中で得た発行体の懸念事項を踏まえ、例えば以下の3つの観点で手引書があるとよいと考えている。
1つ目は、グリーンとトランジションのハイレベルの定義、つまりグリーンとトランジションではどこが異なるのか、である。個別のプロジェクト単位ではグリーンとトランジションの評価は可能だが、二酸化炭素排出や化石燃料利用についての相違点など、ハイレベルで定義し、市場の認識の目線の統一をする必要がある。グリーンとトランジションの切り分けを入り口の段階で行うことができれば、発行体もスムーズにトランジション・ファイナンスに向けたフレームワークを確立できるし、効率的なサポートができるだろう。
2つ目。例えば、直接的な多排出産業である電力会社は設備を自ら製造しない。また、自動車会社も個別の部品すべてを自社では製造しているわけではない。これら産業では設備や部品の供給メーカーがサポートする形で産業が構成されている。基本指針で発行体自体の環境戦略が必要と捉えられると、1部品メーカーが2050ネットゼロを宣言しなければいけないことになる。各産業別に定められた脱炭素化に向けた方針を国や産業界が作成し、それにマッチすることで問題ないとする基準を設けることが望まれる。これにより、幅広い産業でのトランジション・ファイナンスの利用が可能となり、脱炭素化への活性化になると考える。電力・ガス・鉄鋼のような直接排出産業だけでなく、技術開発や製品製造供給など、それを支えるセクターをまきこんで進めていく必要があると認識している。
3つ目に、トランジションの4要素とグリーンボンドの4要素は重複する部分が存在する。グリーンボンドのフレームワークにトランジションの要素を取り込む形の記載例などが手引書であるとよいのではないか。
上記を含めた実務者向けの手引書があり市場関係者の解釈の一致が図ることができれば、トランジションに対しグリーンウォッシュと評価されるような間違った認識を回避することができる。
発行体について、定義を広く捉えて議論したい。例えばプロジェクトファイナンスの際のSPCや日本企業の海外子会社なども対象に含める形であれば、ファイナンスのフレームワークとして広がりがあるものとなり、クライメート・トランジションの促進に貢献できる良い制度になるだろう。逆に、定義を限定して利用可能な対象が少なくなることは問題である。
開示にScope3に関する排出量を含めるかどうか。発行体がコントロールできる範囲という観点で柔軟に戦略を策定できるように出来ればよいのではないか。
また、開示に向けた情報整備が厳しい業態では体制が整っていないだろう。そうした場合も柔軟に利用可能なものとした方がよいのではないか。
骨子の内容には全面的に賛成である。またローンが指針に含まれたという点も、日本の金融市場の構造を考えれば意義があることであり賛成である。
ボンドとローンそれぞれの基準について、多くの委員からご意見が出ている。透明性と実現可能性のバランスについて、議論が必要となるだろう。
ボンドであれば、TCFDやSBTを利用する形で大企業は対応できるだろうが、中小企業では難しいだろう。一方、トランジション・ファイナンスでは信頼性や透明性が重要であり、基準を緩和しすぎると、特に海外から厳しい目を向けられるだろう。少数の適合しない事例で全体が批判されることを避けられればよいと考えている。
直接、指針には関係するかわからないが、海外投資家をどう考えるか。トランジションとして理解してもらえる投資家から資金を出してもらえばよいという観点もあるが、その場合、日本のトランジション・ファイナンス全体の信頼性が揺らぎかねない。それぞれの発行体がどのように英語で世界に発信していくかという点も、重要な観点と認識している。
総論として、信頼性を確保しグリーンウォッシュと捉えられないようにすることと、使い勝手がよいものとすることが重要である。
各論について、p.1に目的の記載があるが、カーボンニュートラルに対応するための資金の必要性など、より大きな目的に紐づける形での記載が必要ではないか。また、多くの人に読んでいただくという観点で、取りまとめの分量は20ページ程度で良いのではないか。p.7の短中期の目標や軌道、p.8の成果とインパクトの定量的に示すことに関しては、意見交換会で発行体からの意見をしっかり聞きつつ検討できれば良いだろう。最後にローンにおける要素4の透明性に関しては、書き分けの必要の有無を検討したほうが良いのではないか。
何らかの形で海外などの市場関係者に発信できればよいと考えている。
Scope3の開示が必要というだけで、やる気をなくす発行体もいるだろう。目標を低く設定すべきということではないが、ICMAのハンドブックでも、ベストエフォートベースで業界によって対応可能な点と不可能な点がある点は明記されている。「可能な限り」、「自主的な」、といった言葉をICMAの原則などにも記載しているが、できるだけ多くの方に使っていただけるよう、包括的な観点を、信頼性・透明性とのバランスを取りつつ、可能な限り考慮していく必要があるのではないか。
想定する読み手は発行体として良いのではないか。ガイドブックの目的は、トランジション・ファイナンスのラベリングを議論することではなく、発行体のためのガイダンスとなることであると認識している。
投資の判断は投資家それぞれのものになるだろう。トランジション・ファイナンスとするかどうかは、最終的に投資家がどう考えるかによるだろう。
資料4 p.6に記載の「公正な移行」という点は、なかなかイメージがわきにくい。例を示すなどすべきだろう。
投資による効果を定量化していく動きもあると思うが、「公正な移行」の観点は、定量的な説明に利用可能な部分と考えている。例えばポートフォリオの中で何に貢献しているか、SDGsの何番目に貢献しているのかなど、投資による貢献を定量化できるポイントである。マーケットの動きも念頭に入れて検討を進められるとよいのではないか。
本検討会に大変期待している。気候変動の観点でもファイナンスは重要であり、日本政府にとっても、2050カーボンニュートラルやグリーン成長のため重要な要素である。
トランジション・ファイナンスは、現状の技術で排出削減が困難な産業にとって重要であると認識している。
トランジション・ファイナンスは、脱炭素への移行に必要な場所へ世界の資金を流していくという目的を持った議論と理解している。そのうえで、ICMAのハンドブックを基礎とし議論を進めることは適切なアプローチだろう。
脱炭素だけでなく、関連する負の外部性やSDGs全体に寄与する広範な戦略の開示に関する視点、公正な移行などの観点を、ハンドブックにしっかりと盛り込んでいただきたい。これらはインパクトファイナンスや地域金融の実践の取り組みにも活用できる点と認識している。
他の委員よりご発言があったように、信頼性と透明性が、国際的な評価に耐えうるという意味でも重要である。ICMAのトランジション・ファイナンスのハンドブックについても、欧州では市民社会から一定の懸念が出ている。企業が示す戦略や情報が科学的に説明可能なものであることをどのように担保するか、指針の中で示していくかという点は、非常に重要な点と認識している。環境分野の専門家の知見等も必要かもしれない。
金融関係の方が多くご出席しているためお伺いしたい。分野別のロードマップを作成していくことになるが、これは科学的説明可能性の一つのガイダンスになり、国際的な説明に資するものになると認識している。トランジションを科学的に説明するためのツールとしてどのようなものがあるかと考えているか、お伺いしたい。
企業を実際に分析している観点で言えば、ツールというより、企業が発行している統合報告書をベースに分析している。TCFDのフレームワークなどに沿った形で気候変動対策の記載の仕方、外部評価機関の個別のボンドに対する評価、ESGリサーチファームのレポート、また自社指標などを分析の出発点として、個別企業の投資判断などを作成している。
 
議題(6)閉会

伊藤座長

・共通の認識として、透明性と信頼性は重要だが、できるだけ多く活用されるものとしていきたいという点がある。第二回目で案が出てくると思うので、透明性・信頼性と利用可能性の軸でどう捉えるかという議論をしていければよい。
 
―― 了 ――

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